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母の思い出

今年も雪の季節がやってきた。私はこの季節になるといつも思い出すことがある。
もう50年余りも昔のことである。その頃、我が家は決して裕福ではなかった。秋の稲刈りが終わると、父はいつも都会へ出稼ぎに行っていた。
雪が降りだすと子どもたちはみんな雪の中で遊んだ。裕福な家の子どもは買ってもらった本物のスキーで遊んだ。私たちは自分で竹を割ってスキーを作り、手製のスキーで遊んだ。だが、子ども心に本物のスキーで遊ぶ子どもたちが羨ましかった。
ある時、一度だけ母に「本物のスキーを買って欲しい」と言ったことがある。言っても無駄だとは分かっていた。だが、母は意外に「成績がクラスで5番以内になったら、買ってやってもいいよ」と答えた。当時の私の成績はクラスいつも40人位中の15番前後で、5番はおろか10番以内に入ることも絶対不可能だと思った。恐らく母も同じように思っていたのだろう。
ところが、2学期の通知表を見ると、私の成績はなんとクラスで「2番」になっていたのである。
私は、家に帰り通知表を母に見せると、「3学期も頑張りや」と言っただけで、あとは何も言わなかった。私もスキーのことは何も聞かなかった。
あれから、もう50年あまりが経った。あの時母は本当にスキーのことは忘れていたのだろうか。一度確かめてみたい気がする。だが、4年前に母は88歳で逝ってしまった。いつの日にか、またあの世で母に会った時には聴いてみようと思う。


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2010年12月30日 21:28に投稿されたエントリーのページです。

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