« 「鏡の法則」(野口嘉則・著)を読んで | メイン | 小学校英語学習と野球のキャッチボール »

モラル・ハザードについて

最近「モラル・ハザード」という言葉をよく耳にするようになった。
耐震設計の偽装や食肉の偽装、お菓子などの賞味期限の改ざんなどは、すべて最近の企業におけるモラル・ハザードによるものだ。給食費を払わない親が増えたのも、家庭におけるモラル・ハザードによるものだ。という使い方である。つまり「モラル・のハザード」⇒「倫理・道徳観の欠如・崩壊・空洞化」という意味である。
しかし、もともと「モラル・ハザード」という言葉は保険業界における専門用語らしい。つまりモラル・ハザード(moral hazard)とは、保険によって危険を回避できるという事実が、被保険者の損害回避行動を阻害する(保険契約において、危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われる)という現象をさすらしい。
しかし、「倫理の崩壊」「倫理の欠如」という意味で使用されるようになってからは、一部の国語学者から「誤用(誤った使い方)である」との指摘もあったが、2003年11月13日、国立国語研究所による『第二回「外来語」言い換え提案』によって、モラルハザードは「倫理崩壊」「倫理欠如」「倫理の欠如」とする見解が示された。
ただし、本来「モラル・ハザード」という語は保険におけるリスク関連、および経済学の国際的な専門用語であり、この言葉が日本語圏においてのみ「倫理の欠如」という本来とは異なる概念で定着することはビジネスや国際コミュニケーションにおいて意思疎通の障害になり、利益を損なうという意見があるので注意する必要がある。
いずれにしても、今の日本社会は「モラル・ハザード」という新語が誕生するほどに、倫理の崩壊、倫理の欠如の病理が深く進行しているということかも知れない。
今日も新たに、老舗で知られる高級料亭「吉兆」グループの一つがお菓子の賞味期限を書き換えてデパートで販売していた事件が報道されていた。日本社会のモラル・ハザードは果たしてどこまで進行しているのだろうか。

About

2007年10月29日 22:41に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「「鏡の法則」(野口嘉則・著)を読んで」です。

次の投稿は「小学校英語学習と野球のキャッチボール」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34